なつかしの山陰・島根へ
なつかしの山陰・島根へ
前回、別府温泉と大衆演劇にお供した80歳代のお客様から、ありがたいことに再度ご依頼をいただきました。
「今度は島根に行きたいです」と精神科病院の社会福祉士さんを通じての連絡でした。
長年、精神科病院に入院中のお客様は、10代のころ島根で働いていたことがあるそうです。そこへもう一度行ってみたいとのご要望です。
事前の訪問相談で、60年ほど前の記憶をさかのぼります。すると、いくつかの単語が出てきました。
「イワミマスダ」「オカミ駅」「オオシキアミでブリをとった」「よくホルモンを食べた」
調べてみると、島根県西部の石見地方、益田市、そして浜田市三隅町の岡見駅、昔、山口・島根近隣でよく使われた大敷網など、たしかに該当エリアのキーワードが出てきます。(すでに分からなくなっている旧町名もありましたが。)
これで、旅が決まりました!
目的地は、石見地方・益田市周辺。目標は、岡見駅を見る。漁港に行く。ホルモンを食べる。
さて、当日「特急スーパーおき」に揺られて、日本海へ。
波が岩に砕け散る雄大な景色が広がります。
そして岡見駅、なんと昔の駅舎が残っていました!
「ここにキップ売り場があった。昔は階段で昇ってた」そう、たしかに今は地下通路になっていますが、昔は階段だったようです。今は無人駅ですが、以前は切符も売っていたことでしょう。
「ここは昔、新聞屋だったねぇ」と駅前の街を歩き、つぶやくお客様。
赤い石州瓦の家々が立ち並ぶ光景を前に、昔のなつかしい情景が蘇ります。
昔のホルモン屋はありませんでしたので、焼肉屋へ案内しました。
入院生活では食べることのない焼肉に、ご満悦のお客様。
ホルモンは硬いので食用ハサミで小さく切って、召し上がっていただきました。
1泊2日の思い出の旅、無事に終えることができました。
今回の旅にお供して印象的だったのは、お客様の発言内容です。
ご病気の影響もあり、普段あまり感情を表さないお客様ですが、
以前より自発的な言葉が多く聞かれました。
「あぁ、海がきれいだね〜」
「この刺身は、うまい」
「60年ぶりに来ることができた。一度は来ないといけないと思っていた。これで安心したわ。」